STATEMENT

背景

GPSを用い、移動した記録で大地にアートを描く「GPSアート」を制作しています.

2008年に妻へ世界最大のプロポーズを制作するため、初めてのGPSアート……日本列島を縦断し地球規模のメッセージを描きました.結果としてギネス世界記録に認定され、私はGPSアートのパイオニアとして世界中に認知されています.

制作活動のテーマ

私はGPSアートを「地域の歴史文化を体験できるツール」と捉えています.移動することで何かを描き、同時に歴史文化に触れ、地域への理解をより深めています.

上記のように捉えた理由は、初めてのGPSアート……日本縦断の旅を通して、本の中でしか知らなかった数々の地域の魅力に触れたからです.そして、人の営みの帰結としてのランドスケープ=道路(ロードスケープ)に深く興味を持ちました.
道路は、数百年数千年に及ぶ人々の生活がレイヤーのように積み重なり、その結果の表象として現在のロードスケープが存在します.また、都市化・過疎化によって日々変化しています.生物のように有機的に成長するロードスケープの瞬間を身体の移動によって読み取り、GPSにアーカイヴすることで、軌跡によるアウラ=GPSアートを制作しています.

今後の展開

GPSアートの制作だけでなく、GPSアートが普及し、文化として定着する事業にも注力しています.
主な活動軸は2つです.

ひとつ目は、より多くの人にGPSアートを知っていただき、実際に体験いただくこと.
私がGPSアートを始めた当時は、その新規性ゆえ、誰もその表現方法を知りませんでした.スマートフォンもなくGPSも認知さてれていない状況でしたので、まず「GPSを使った移動で絵が描ける」ことの認知拡大が必要でした.
企業広告とのコラボやイベント、テレビ番組、教科書への掲載、出版を通して、大衆への認知向上を図っています.また、実際に体験した人からファンになっていただく育成事業にも努めています.

ふたつ目は、GPSアートをファインアート(純粋芸術)としても定着させること.
コロナ禍による行動制限により、GPSアートは市民ランナーを中心に爆発的に普及しました.一方で、大衆芸術やサブカルチャーとしてのイメージが強い表現手法となりました.それは、GPSデータをアート市場で扱える仕組みがなかったからです.ただし、現在はNFTを代表するテクノロジーの発達により、実現可能なフェイズに入りました.
GPSアートを普及させたパイオニアとして、アートマーケットにもGPSアートを認知させ、流通できる仕組みを構築します.

Yassan in Colombo